こちらのお客様とのお話の中でも窓が出てきました。
お部屋の中から窓の外の風景を眺めている感じ。
アンティークの椅子。
チャトラの猫。
野花。
グレーの革色に合わせた落ち着いた配色。。
森の中を木漏れ日を感じながら歩いていきます。
鳥のさえずりや風に答える木々達の声、濃く薄く光はあなたにあたりつつ、だんだんと道は険しく次第に薄暗い森の奥に導かれていきます。
どこまでいくのだろうと思っていると暗い森の向こうに光がみえてきます。
たどり着いた場所は深い森の中の自然の庭。
誰も入った事のないであろうあなただけの”自然の庭”
古い切り株の椅子にはあなたの猫がゆったりとくつろいでいます。
その横にそっと座り、目をつむり、花の匂いとまぶたにうつるちらちらとした光と、ほおをなで軽くくすぐる風を感じます。
軽く上を向き、ゆっくりと目を開けると、木々たちと雲がまるで窓枠のようにお日様を囲み
穏やかな午後の日差しを投げかけてくれています。
書きながら思いましたが、お客様のオーダーの物を作りながらすごく共振させて貰えてるんですね。作りながら森や庭や日や風を追体験している。
このお客様は、静かでゆったりとした雰囲気の方でした。
お話を伺っているとまず白い壁の茶色い木組みの床が現れて古い木枠の窓から外を眺めている感じがしました。その部屋にはぽつんとトーネット様式の曲線を描いた椅子があります。
ですが、やっぱりお造りするときには部屋の中が外に変わっていました。椅子は切り株に。
窓枠もやはり消えて。。。
よっぽど私が外に出たいのか。
部屋からでて五感を使って自然を感じたいのか。。
でも、お客様が座っている風景は広い野原や、広大な丘やダイナミックな自然ではなく
森の中にひっそりとある穏やかで豊かな草花の世界。限られた人にだけ招き入れる特別な部屋のようでした。
私は作りながらその中へお邪魔させてもらい、ひと心地つかせて頂きました。
ありがとうございました。