2014/01/13

エスニックとフォークロア

この言葉を聞いた時にみなさんはどう感じますか?

まず意味をちゃんと調べずに感覚のままで書いてみよう。

エスニック
まず一番に思い浮かぶのはインド。スパイスの匂い。少し粗めにぎっしりと縫いこまれた曇りがちのミラー、褪せたカラフルな色合い。アジア、イスラム圏、そしてアフリカ
鼻から抜けるような高音。少し蒸せた空気。砂混じりの足元。。

フォークロア
真っ先に思い浮かぶのは東欧、アルプスの山々、ホルンやアコーディオンの音色、ジプシーの娘、上質なずっしりとしたリネンにきめ細やかに刺された刺繍、または羊毛で丁寧に織られた敷物。ヨーロッパの神話。ケルト信仰。

感覚としては何故かエスニックという響きの方が雑で大らかでそのもの自体に汗が染み込んでいるような。これはきっとエスニックブームをリアルタイムに受けた時の感覚のままなのかな。かたや少し大人になってフォークロアという言葉からは何故か女性的で優しく温もりがあるイメージがつきまとう。

実際に言葉の意味を調べてみよう。


エスニックとは、「民族の」、「民族的な」、「異邦人の」という意味。

ファッションにおいては、ユダヤ、キリスト教徒以外の民族調ファッションをさす。「フォークロア」が「民族調の」と訳されるに対し、さらに土着的な意味合いの強いファッションを指すことが多い。

すごく簡潔に書いていたけれど、イメージどうりだった。ちなみにどちらの言葉にもその国の宗教感が深く染み込んでいてそれを抜きには決して語れないところがおもしろいな。

カワエを初めて何年かして作品をある人に見せたことがある。
その人は直ぐに ああ、エスニックですね。じゃあ、丸々店に見せたらどうですか?と言われた。
その時には内心ムッとして、この人にはもう見せないな。と思った。
自分の力量を差し置いてゆうのもなんだが、物事を一つの言葉で片付けるのは結局大きな箱にガサッと物を入れて仮の分類シールを貼ることと何ら変わりないから。
かといって興味のないものに対して興味のあるふりをしてもらわなくても全然いいのだけどそうやってこの人は物を整理していくんだな。と少々残念な思いをした。

だけどその言葉に引っかかった私こそがエスニックという言葉に先入観を持ってやしないか?なんとなく雑で粗い物としてひとつにまとめてやしないか。。
今回の展示会の製作は今までの様に感情、感覚を通しての製作が少なく、少し男性脳というか左脳を使った考え方、仕事の進め方をしている(これがもうすでに感情的な様な気もするけれど笑)
だから、作品や商品以外の全体のイメージをより強く意識していて、言葉の持つ意味。そこに普段どういう意味を自分が持たせているか。。。などを考えるきっかけになっておもしろい。

じゃあ、全く変なことなんだけど自分のなかでエスニックとフォークロアの言葉に上下をつけている事がわかって、その気持ちを再確認したのちに気持ちの訂正が入ったことが面白い。

どちらも、好きです。気の抜けた物作りも、一息もつけない緊張感漂う物も含めて人の息吹を感じさせる物が好きだ。
そしてどちらの言葉にも何故かユーモラスで温かみを感じる。

二枚の写真
上はベルベル系カビル人。この美しさにノックアウト
下はチェコスロバキアのモラビ農民。