2014/03/06

ある夏の日

展示会が終わり縫い始めたお財布バッグ。元同僚の女性からのオーダーです。
友人、知人達は人柄や趣味、個人的な出来事も少なからず知っている事もあり、比較的イメージしやすかったりもします。
件の彼女とも互いの近況を話し合いながら、いつかを今にしたきっかけや気持ちを伺う中で見えてきた柄がありました。
彼女にそれを伝えると、勿論おまかせということでその場は別れて。。

展示会の忙しさを経てやっと腰を落ち着けてもう一度その時に伺ったお話のメモを読み返したり現在の状況、姿なんかを思い出しながらラフを描こうとすると。あれ?絵が描けない。というか、その半ば決めていた絵が描けません。
それよりももう少し前の段階の絵が必要というか、その絵に至るまでの過程の絵が必要というか
一足飛びでそこにはいけないんだなと思い描く絵から教えて貰い私自身が不思議な気持ちになりました。

自分の感覚を妄信しすぎるのは危険なのですがこうやって絵が勝手に動き出したりする感覚は凄く大事にしないといけないなと思います。
で、描き出した絵は意外と私自身が感じている彼女でも、彼女が求めているような柄でもないようでいい意味でも悪い意味でも少し新鮮。
ただ、彼女が話していた海辺に私もしばらく座りぼーっと波が行き交うのを見ているような不思議で穏やかな気持ちになっています。
作りながら、時間が全て自分の為にあったあの頃の夏を思い出して、すごく嬉しくなると同時に彼女にもその時間を思い出して欲しいなと思いました。

お渡しするのが本当に楽しみです。